見極める

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嫌な予感しかせず、考える気力さえ奪われていく。 「横に押すボタンと言えば何でしょう? さっき言った、非常ボタンや呼び鈴でありません。 もっと頻繁に押しているかもしれませんねぇ。 まぁ、人によりますか」 狐面の男の笑いは、否が応でも答えてもらうという意思が感じ取れる。 第三のボタンは真四角の箱、横に押すボタンというワード、そして、この部屋全体も真四角である。 「……エレベーターだろ」 渋々の回答に、 「ピンポンピンポンピンポン! 正解です。 その見極める能力がもう少し早く出せていれば。 本当に残念です。 そろそろボタンの効果が現れますね。 何か最後に言い残す事はありますか」 狐面の男の口調は更に流暢になる。 「俺は…… 俺は二度とボタンは押さねー! 」 桐山が叫ぶと、 「あぁ、そうそう…… 」 狐面の男に激しいノイズが走る。 同時に部屋全体が落ち始める。 「う……ヴァーーーーっ! 」 尋常じゃないスピード。 姿を成さなくなったノイズは、 「そのエレベーターにワイヤーは付いてないんで」 最後の言葉を告げて消え、その言葉を聞く事もなく、 「ぅぁぁぁーーー……… 」 桐山は部屋もろとも地下深く深く。 「………… 」 叫び声はどこにも届かず、 プシャッ 小さな小さな破壊音だけがこの場所に取り残された。
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