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三様
有無を言わす間も与えず、
「それではスタートです」
狐面の男から開始が告げられた。
緊張が走る桐山と宮木の前方床下から、直径十センチほどのキノコ型ボタンがせり上がってくる。
命が賭かったゲームだということは、体に染み付くほも味わわさせられてきた。
二人は瞬時に動き、ほぼ同時にボタンを押す。
ピンポーン
回答権を得たかのような音を鳴らし、ボタンは沈み込む。
そしてそのまま、押された手の重力によって床下へとボタンごと沈んでいく。
第一のボタンが沈み込んだのと同時に、再び床がせり上がり始める。
「これは…… 」
先程のボタンよりもかなり大きく、直径五十センチはあろう丸平型ボタン。
桐山も宮木もすぐに右手で力強く押してみるが、
「お、重い…… 」
全く沈み込んでいかない。
桐山は両手を重ね合わせてボタンの上に置き、その上へ胸を預けて出来る限りの体重をボタンへと乗せる。
「よしっ! 」
少しずつ少しずつ沈んでいき、
ピーンポーン
床下に沈み消えると同時に音が鳴った。
宮木のいる横へと視線を向ける。
同じように両手を掛け、そこへ程よい大きさの胸に小さな体を預けて全体重を乗せているが、ボタンはピクリとも動いていない。
桐山は思わずニヤケ、
「勝負あったな」
小さな声で勝利宣言、拳を握って小さなガッツポーズを取ると、それを合図にしたかのように三つ目のボタンがせり上がってくる。
「なっ…… 」
桐山は思わず声を上げた。
「で、でかっ! 」
現れたのは二メートル四方の立方体ボタンだった。
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