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「話は聞くわ。
それから考える」
ようやく興味を示した相手を手放すわけにはいかない。
桐山は順序を追って丁寧に話す。
「まず、第二のボタンを押せないあんたに勝ち目はない。
第二ボタンが押せないあんたが第三のボタンを押し切れるとは到底思えない」
宮木はすでに隣に現れている第三のボタンを見上げ、
「あなたが手伝ったところで私には勝ち目がないっていうことね」
理解を示す。
桐山は一つ頷き、
「だが、第三のボタンを押しきれない俺も同じようなものだ。
そこで、あんたに手伝ってもらって…… 」
話を続けていると、
「それだとあなただけが復活することになる」
当然の疑問が返ってくる。
それを聞いて、待ってましたとばかりにニヤリとする桐山。
「同時に押す」
「同時に? 」
宮木が少し考えを巡らせていると、その答えを自慢げに桐山が語り出す。
「あいつが言ったこと覚えてるか? 」
目線は狐面の男。
「『今から三つのボタンが順番に現れます』
三つのボタンと言っただけで、自分の前に現れたボタンをとは言っていない」
確かにそうは言っていないが、通常は自分の前に現れたボタンであろうと宮木は思う。
だが、第二のボタンすら押せない自分の敗北は見えている。
それならば、その提案には乗ろうと先を促す。
「それで? 」
「そして、
『それら全てを先に押した方が復活ということになります』
同時に押した場合のことは宣言されていない」
以上だ、と桐山が満面の笑みで話し終えると、宮木は目を細めて第三のボタンを吟味し、
「いいわ。
まずは私の第二ボタンからね」
提案に乗る決意を伝えた。
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