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桐山は部屋中央に立つ狐面の男へと駆け寄った。
「な、なぁ、あんた手伝ってくれよ」
「何をですか」
長身でガタイの良い狐面の男からはしらばっくれた返答。
「み、見てただろ!
俺と宮木の体重合わせても沈み込まない!
この部屋で更に体重があるのはあんただ。
それが、この第三のボタンの答えなんだろ! 」
「それで、私に手伝えと?
それは無理な話です」
冷たい返答に苛立ち、
「俺が最後まで生き残ったなら、半分……
いや、賞金の三分の二をやる!
だから、なっ! 」
狐面の男の右手首を掴んで引っ張ろうとするも、
「なっ…… 」
その動作はすり抜け、勢いで床を転がった。
「だから無理と言ったでしょう。
私はホログラムなんですから」
狐面の男の笑いが部屋にこだまする。
「じゃあどうすればいいって言うだ…… 」
怒りをぶち撒けようとしたところで桐山の目に飛び込んできたのは、
「そんな…… 」
宮木が壁側面へとボタンを押しやっている姿だった。
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