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「押し込むんじゃなくて、押し出す……
そんなの聞いてないぞ! 」
宮木の第三のボタンは部屋の側面へと吸い込まれていく。
「床からせり上がり、押し込んで床下へ、それを二回も。
ボタンは上から下へ、そうとでも思いましたか? 」
狐面の男が問うている間に、
ピーーンポーーン
チャイム音と共に、宮木自体も壁側面へと吸い込まれていった。
復活したのは宮木、自分でない事を認識すると、
「そりゃそうだろ。
ボタンは上から下、それが…… 」
桐山は小さな声でぼやいた。
「非常ボタンは?
呼び鈴は?
横に押すボタンなんていくらでもあります」
返す言葉が見つからない。
「復活出来るのは見極める能力のある者。
宮木さんはすぐに見極めた、だから復活されたのです」
この狐面の男の言葉に、
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ。
宮木がすぐに?
すぐにっていつだよ! 」
何でこんな事を聞いてしまったんだろうと桐山は後悔する。
「第三のボタンが現れてすぐですよ」
「じゃあ、なんで俺ほボタンの手伝いなんか…… 」
自分に呆れ果て涙が出てくる。
「さぁ?
単純に借りを返したかったのか、馬鹿な事をしているあなたを近くで見て楽しんでたのか。
宮木さんにしか分かりませんねぇ」
自分なら後者だと狐面の男は笑った。
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