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復活枠
狐面の男は両手を大きく空に振り上げ、
「復活枠をご用意いたしました」
最高のプレゼントでしょ、と言わんばかりに目線を下に向ける。もう……
時間がない……
その出来事は、営業回りの移動中に突然起こった。
とにかく急がなければ……
辺りを探しまわる。
ない……
ない……
「あっ!」
見付けた。
茂みに隠れ、ひっそりと佇む……
トイレ!
ボロボロの姿で床に這いつくばっている桐山の目が生を取り戻すと、狐面の男は上げていた右手を腰に下ろし、左手は一本指を作って見せつけるように前へ突き出し、
「ただし!
本戦ゲームへと復活出来るのは一名のみ」
僅かに覗き見える目が垂れるようにニヤける。
桐山は隣で這いつくばっている宮木へと視線を移す。
同じくボロボロの姿で、白い柔肌の腕や太腿が露わになっている。
「あんなに傷だらけじゃなかったら最高の女性なんですけどね」
いやらしい笑いを浮かべながら、しゃがみ込んで近寄り耳打ちしてくる狐面の男に、
「で、その一名ってのはどうやって決めるんだ」
無駄話せずに話の先を促す。
狐面の男は皺の寄ったタキシードを直しながら立ち上がり、二人の中央へ。
今度は両手を大きく左右に広げ、
「今から三つのボタンが順番に現れます。
それら全てを先に押した方が復活ということになります」
復活の為のゲーム内容を告げた。
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