君を乗せて

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「忘れ物ないか?」 「おう」 土曜日の朝一番の駅のホームには、いつもと比べて人が少なかった。 「荷物まとめるの、手伝ってくれてありがとうな」 隣に立つお前が言った。 「ああ」 俺はそんな言葉に素っ気ない返ししかできない。 「……なあ」 口を開いたのはお前だった。 「俺たち、小学校から一緒で、高校までとんとん拍子に来たから、いまさら違う道に進むのってなんだか変な感じだな」 「そうか? 当たり前の事だろ」 「そうだな」 お前は心底おかしそうに笑う。 「いつか道は違える。当たり前なのに、気持ちは当たり前にならないな」 「そうかよ」 俺は腕組みをして、前だけ見つめている。
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