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執着
当初から異様な程、マインツは淡島にアレコレ世話を焼く。任務で都合がつかない場合を除いて、腹心のドルフに任せる事も少なかった。言動は支配的で管理的であり、父権を感じさせる物がある。マインツが屈強で成熟した体格の外人男性で、対する淡島はまるで子供のように幼い容貌の所為もある。少々常識に欠けているのを叱り指導し、管理しているくらいならば、誰も責めたりはしない。むしろ押し付けてすらいた。
「……マインツ、タヌキちゃんの人生を全て自分で管理しないと気が収まらないわけ?」
「そうだ」
「そう……」
はっきりと肯定した銀髪の幹部に、マインツの同期であるロンダは何とも形容し難い表情を浮かべた。鋭い視線に慈しみはないが、憎悪や嫌悪はない。視線の先では、自分の血で壁に絵を描いている女。描かれているのがデフォルメされた動物故に、殊更不気味さが増している。ホラーが苦手な自分の推しには絶対会わせてはいけないとロンダは決意した。
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