3人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、右を見ると扉がある。これもまた、開きっぱなしだ。
鈴香が八宵に気を使ったのか、はたまた、掃除当番が忘れていったのか
想像は膨らむばかりだが、友達を待たせていることもあり、
廊下を出て扉を閉め、また、歩こうとしていた。
が、やはり、気になってしまった。共有のジャンバーかけに
1着だけ、ジャンバーがかかっている。
全体は黒だが、所々に白が入っており、フードに紐が着いている。
八宵は、ただ、それを見つめるだけではなかった。
(女子のかな、男子のかな、ちょ、少しだけ匂いを……)
ジャンバーを両手で抱き、顔に近づけスンスンと2回鼻呼吸を繰り返した。
(わぁ、いい匂いだぁ。)
と、顔を緩め突っ立っていると、足音が聞こえる。
八宵は、顔をブンブンと振り自我を取り戻したかと思うと、
すぐに教室に隠れた。
最初のコメントを投稿しよう!