愚者の問い

1/1
前へ
/1ページ
次へ
目の前にスズメが落ちていた。 死んでいるのか。 もうすぐ死ぬのか。 まだなんとかなるのか。 小さなスズメを両手ですくい上げ胸に抱いたまま歩く。 しばらく歩くと、野良猫がヨロヨロと目の前を横切った。 野良猫の目の先にスズメを放り投げると、野良猫は後ろへ飛びのいた後、またヨロヨロと前進し臭いを嗅ぐと、スズメの首元に嚙みついて草の陰に消えた。 スズメは野良猫の為に生まれたのか。 それは運命か。 その運命はこの手で変えられるものではなかったか。 いや、それさえも運命なのか。 ヨロヨロと目の前に現れた野良猫が、スズメを咥えた途端機敏に走り出したのはどういうわけか。 スズメはなぜ、そこに落ちていたか。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加