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しばらくの沈黙の後、恵美里は肩を震わせ始めた。
「君のだろう」
山城が追い打ちをかけた。
「仕方ないじゃない……」
恵美里は、腹からしぼりだすように声を出した。
「仕方ないじゃない、他にどうしたらいいか、わからなかったんだから! 何をどうしろっていうのよ!」
うつむいたまま、恵美里は大声を上げた。
一呼吸置いてから、恵美里は静かに続けた。
「もう少しだけでいい、親がマシだったら、お金があったら、裕福な家庭だったら、私を褒めてくれていれば、私が頑張っていたら……。そうでなければ、私は産んだ子の首を絞めたりしなかったわよ……」
そう言い終えると、恵美里は声を上げて泣き始めた。
山城は何も言えなかった。ただ、恵美里が泣くのをただ見つめていた。
(了)
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