(二)

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 包丁の持ち方やガスコンロの火の強さなど、いちいちうるさかった。  恵美里がむすっとしていると、新田は「そんなんじゃ、いい嫁になれないぞ」と怒り始めた。  恵美里はついに頭にきて「うるせえ!」と大声で怒鳴りながら手にしていた包丁を新田に向けて振り回してやった。  「やめろ、やめろ」と新田は驚いて腰を抜かし、床に手をつきながらあとずさった。  恵美里は包丁を持ったまま、ジャージを脱いで鞄に入れた。そして寝室でハンガーに吊してあった制服に着替えた。  床でへたり込んでいる新田に包丁を向けながら、恵美里は新田の部屋を出た。 (続く)
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