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「なんであんなこと言ったんですか。山城さんらしくない」
廊下で背後から城陽に言われた。
「うるせえよ」
山城は静かに答えた。
「あんなこと言っても、どうしようもないですよ」
「知ってるよ。世の中にはな、どうしようもねえ人間もいる。規範意識の薄いヤツ、盗みをしても悪いなんて思わねえヤツ。多くの人間が逮捕されて当たり前の人間ばかりだ。でもなあ、その中でも、ときどきいるんだよ。本人の意志とは関係なく一線を超えてしまうヤツが。そうせざるを得なかったってヤツがな」
「しかし、罪は罪でしょう」
「……まあ、いずれお前にもわかるときがくるさ」
そう言うと、山城は黙って取調室へと向かった。
(続く)
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