(二)

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 山城純雄と城陽典孝が小倉敏郎に促されて取調室に入った。  スチールデスクの向こう側に彼女がいた。頭をうなだれて、下を向いていた。 「久しぶりだな、藤森」  そう言って山城は恵美里の反対側に座った。  そして続けた。 「一年半くらいぶりだな」  うつむいたままだった恵美里は少し頭を上げて、山城の方に目を向けた。 「覚えていないか、ほら、北綾瀬署で。君は万引きで捕まって署に連行されてきた」  恵美里は驚いた目で顔を上げた。しかしすぐにまた下を向いた。 「その後、どうしてたんだ。学校は?」 「行ってない」 「オフクロさんは?」 「男と一緒」 「今もか」 「たぶん」 「たぶんって、家に帰ってないのか」 「ずっと帰ってない」 「どこで何をしていたんだ」  山城がそう問うと、恵美里はうつむきながら少しづつ話を始めた。 (続く)
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