0人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやらペットの見た目や、しつけが行き届いているかを競うものだ、と漠然に理解した小夜は、ママ友たちの応援の言葉もあり、参加を決めた。ちくわとの心の距離も近づき、青春を捧げた。
ある日のことだった。
「どうしてこんなこともできないの!」
高校生になり、ドッグショーの帰りに、小夜はとうとう、ちくわに当たってしまった。本番になると、ちくわは思うように言うことを聞かなくなる。小夜の緊張が伝わってしまっているのも原因だが、普段と違う環境、それが主な要因だった。
翌日の午前中。ちくわと公園へ散歩に出かけた小夜だが、ちくわへ当たり散らした後悔が心を満たしていた。ベンチに座り、小夜はため息を吐く。
何のために、ドッグショーに出ているのか。その意味を見失っていた。ドッグショーに何年も月日を費やした、という事実によって、引っ込みがつかなくなっていたのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!