3人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の朝、本屋のバイトに顔を出す前、以前に二度連行された交番の前に太一は来ていた。
「…………あれ?何、今日は自首しに来たの?」
制服のベルトを真っ直ぐに正しながら、久しぶりとでも言うようにそう言った警官が椅子に座った。
「違いますよ!(怒)」
机の上に肘を付きこちらを見つめる警官に、向かいに座った太一が詰め寄って話し掛けた。
「昨日のあのセンド、お巡りさんですよね?さすがにやり過ぎじゃないですか?個人情報ですよ?」
「は?何の話よ。」
「とぼけないで下さい!!職質で手に入れた僕の番号使って僕のアカウント見つけたんでしょう?いくら警察官だって、そこまでしていい権利があるんですか?」
「何それ、新しいアニメの名台詞なの?」
やれやれ………と爪をいじりながらちっとも太一を相手にしようとしない警官に、太一が昨日受け取ったメッセージを見せつけた。
「これでも信じてくれませんか?」
そんな太一の真剣な顔に、警官も表情を変えた。
「いつ送られてきた?」
「昨日、職質された直後です。あの後帰り道の駅のホームで受け取りました。」
「そんで?何でこれが俺だと思ったの?」
「こんなこと言うのちょっと恥ずかしいですけど………僕、友達いないし、連絡先教えてるの職場くらいだし……こんな内容のメッセ送りつけてくるような人たちでは無いので。」
「女って?君が狙ってたあの女の人のこと?」
「狙ってなんか………もうその偏見どうにかしてくれませんか?毎回かなり腹立つんですけど。」
「俺じゃないよ。」
真っ直ぐに太一を見てそう言った彼の言葉が、とても嘘には聞こえなかった。
「………さ、そろそろ俺巡回の時間だから、もう帰ってくれる?」
半ば追い出されるように交番を出た太一がぶつくさ言いながら歩き出す。何気なく一度後ろを振り返ると、先程の警官が髪の毛を抑えながら制服の帽子を被り、同じように交番を出て行った。
…………本当にあの人じゃないのかなぁ………じゃあ誰なんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!