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「要はバランスなんだよ。左右が均等になっていればそれなりに見えるもんだろ。これを、こうだろ?そんでこっちを………あ!!駄目だよそこは切っちゃ!何やってるんだよもーおー………最っっ悪!嫌い!僕なんか嫌い!!」
ガタっとハサミを置き、洗面所で鏡を見ながらたった今切り過ぎてしまった箇所の毛をツンツンと引っ張る。
「はぁ………やっぱり勇気を振り絞って床屋さんに行けばよかったかなぁー………ダメだ、愛ちゃんに元気を分けてもらおう。」
ピっ……とコントローラーの電源ボタンを押すと、連動してテレビが自動でついた。ゲーム機本体が準備をしている間、冷蔵庫からジュースを取り出しまたテレビの前に戻ってくるとそこにあぐらをかいて座った。
「トキメキ!カップリング!」その画面に変わった瞬間、太一の顔がパァーっと明るくなった。
「………太一君、どうしたの?元気ないね。」
「そうなんだよ愛ちゃーん………僕今日はね、散々な目に遭って………」
…………また会えるだろうか?名前さえも知らないけれど、僕には声を掛ける事すら出来やしないけど、でも………とても素敵な人だったんだ。
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