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 シンディは命令を送信しようとしたが、家族写真を拾いなおし、両親にキスをしたあと、再度スクリーンを発現させた。まさに命令を送信しようとしたそのとき、隣接するアンドロイド保管室の扉が開いた。白い冷気が押し寄せてくる。 「ひさしぶりですね、お姉ちゃん」  そこには昔と変わらない姿をしたステフが立っていた。裸のままあくびをし、一歩一歩とシンディに近づいた。 「おまえは……離れろ!」  ステフはもういちど大きなあくびをして、「お姉ちゃんは妹にひどいことをいってはいけないのですよ」 「誰がおまえなんかの姉だ! この写真を見ろ! ここにおまえはいない!」  ステフは冷蔵庫の上に置かれたパンを見つけ、おもむろに口へ運んだ。 「お腹すいてたんですよ。お姉ちゃんがいったとおり、パンは美味しいですね!」  シンディは後ずさった。 「おまえはアンドロイドだ! 味は感じない!」 「そういえば」  ステフは腰を抜かしたシンディの前で微笑んだ。家族になったあの日と同じように。 「してくれないんですか、お姉ちゃん」  シンディは右手に追従していた空間スクリーンに触れた。ステフはその場に倒れた。  瞳の輝きはまるで流れ星のような軌道を描きながら、呆気なく消えた。
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