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シンディが三十歳でアンドロイド管理センターの開発局局長となった次の日、母は死んだ。
母の葬式は即日に済ませた。すでに用意はできていたし、親戚からは事件以来ずっと距離をおかれていたため、出席者はシンディひとりで事足りた。
むしろシンディは胸をなでおろしていた。これからの行動を母に見られることだけがずっと懸念材料だった。
ポケットからまだ幸せだった頃の家族写真を抜きとり、小さな自分の笑顔を見ないようにして、ごみ箱に捨てた。
その日は休日だった。奇しくもシンディの父がステフを処分した瞬間と同じような状況だ。だが父は結局のところステフを処分することができなかった。
シンディはスティーブン型およびステファニー型の全製品に送る信号を用意していた。信号送信自体、緊急時以外は固く禁じられていた。そのコードにアクセスすることができる人間は、開発局局長ただひとりだった。
「ただちに生命維持機能を停止せよ」
この世界にはおよそ二千もの機種のアンドロイドがいた。そのうちの二つが消えても、地球上からアンドロイドは消えない。
ただ、シンディの目的は果たされる。
ステフへの復讐という決意は。
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