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食卓にはシチューと大きなパンが並んでいた。シンディの隣には来客用の椅子が置かれるも、そこに皿はなかった。
「ママ、ステフにもシチューをあげて!」
「ステフはごはんを食べないの」
母は椅子でじっとしているステフを見て、ため息をついた。
シンディはパンをちぎった。「美味しいよ!」
「わたしは食事ができません」
「そんな……」シンディはいじらしく、スプーンに歪曲して映る自分の顔を見つめた。寂しそうにも、不安げにも見える顔だった。
のろのろとシチューを口に運ぶシンディは、お腹いっぱいとだけいって、ステフの腕をひっぱった。
「ここがわたしの部屋。ステフも一緒に使うの! いつもはママとパパと一緒に寝るんだけどね、今日からあなたと二人で寝るのよ!」
部屋はもので溢れかえっていた。動かない人形やぬいぐるみ、片付け用ミニロボット、自動ティーセットドローン。無機物だらけなのにせわしない印象だった。
四隅の壁では平面のユニコーンが走りまわり、天井にはたくさんの流れ星が走っていた。ステフはただ立っているだけでめまいがしそうになった。
『姉と同室で生活。姉の部屋では他社の製品が多く使用されている』
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