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 街から雪が消えた頃、シンディは級友を家に招いた。マークという野球少年と、パスという黒髪が美しい少女だった。  マークは没入型爆弾解除ゲームで三連敗を期し、軽量ヘッドセットを投げ捨てた。 「おれはこういう細かいゲームが嫌いなんだよ! ボードゲームがいい!」  次も勝ってやるといわんばかりのすました顔で、パスはスクリーンを発現させ、野球ボードゲームを起動させた。  ステフを含めた四人はふたたびヘッドセットを装着した。あたかも自分がメジャーリーグに参加しているような感覚に、マークは雄叫びをあげた。しかしゲーム内での叫びは現実になんら影響を及ぼさない。ただ四つの真っ白い頭がうつむいているだけだった。  ゲームが推奨アクションを提示するため、野球に興味がないシンディも徐々にのめりこんでいった。  ステフは幸せだった。姉であり、唯一の味方であるシンディが喜ぶだけで、なぜか満たされた。 『ゲームシステム侵入。データ再構築開始』
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