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なるべくしてなった王。
その玉座の上で、唯々“死”を待っていた。
生か死か……この二択に、難しい理論は要らない。
この極論から、未知の物語が生まれると信じて──俺が開設したのがデスゲート。通称、獄門。または死の扉だ。
ただの殺し合いなんて言い方じゃ身も蓋もねぇ。
閉塞的で殺伐とした空間で繰り広げられるのは、長い人生において断頭台を背負っちまった奴等の死闘だ。
表社会じゃとんだ嫌われ者。そこへと出た瞬間、罵倒ついでの投石で命を奪われても何ら不思議ない連中。
屍を幾度となく築き上げて来た人間が、最後は自分の死をどう創り、描くのか……見てみたくはねぇか?
ほら、真っ当な人間でもよく言うだろうよ。
ろくな裁きも受けてない殺人鬼に対して『同じ目に合わせてやりてぇ』、『八つ裂きにしてやりてぇ』ってさ。
そんな醜悪に満たされた殺意ですらも、獄門ならぱぱっと解決してくれる訳さ。痛快だろ? 殺害方法は出場者により様々だけどな、敗者の大半がろくな死に方しねぇんだ。
見せてやれるなら、そうしてやりてぇ位には残虐さ。
奴等の命が軽いのは当然。『殺人鬼は人の皮を被った悪魔だ』……大抵の奴はそう理屈を並べるだろ?
けどな、違うんだよ。人間は死ぬまで所詮、人間でしかない。
そこに重いも軽いもなく、身ぐるみを剥いでいけば残るのは単なる“命”って単語だけ。
幾ら機械の如く無に徹してようが、自分が何たるかも忘れて本能の赴くままに生きていようが、死に際には感情の華が咲き誇る。
どんな奴だろうが、追い込まれたら本性が出るんだよ。
その死に物狂いの中に物語があり、浪漫がある。俺はそれを享受したいだけ。
これ以上、退屈な人生なんて真っ平ごめんだからな。
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