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◇◇
私が、納得いかないという
表情をしていることに
シロさんは、苦笑いしながら
尻尾をパタパタと床に打ちつけていた。
『再出発だよ。魂はね、修行を
繰り返すために再出発するんだよ。
ただ、あまりにも辛い思いをしたり
悪いこと、罪を犯した魂以外が
再出発することを許されるんだ』
「咲良は、じゃあ咲良は
癌で死んだことを、辛いって
思わなかったの?」
『そりゃね。ユキたちより先に
死ななければならなかったことは
咲良も、悲しんでたよ。でも、
たくさん愛されたから、今度は
自分も誰かを愛したいってさ!』
私は、シロさんの話を聞きながら
また、涙が瞳から溢れていた。
「じゃあ、オレたちも…再出発しないとな!」
「うんうん。ママも、姉ちゃんが
安心して再出発出来るように笑わないと!」
『そうだよ。その為にアタシが
ここへ来たんだからね! しっかり
皆で、再出発するんだよ!』
咲良が魂の姿に還って半年…
私は、咲良が寄こしてくれた
シロさんのおかげで
やっと、前を向いて残された
人生を再スタートさせることが
出来たのだった。
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