プロローグ

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✡✡✡✡✡ 娘が亡くなって半年が過ぎようとしていた。 季節は、もう…あの暑い夏から、短い秋が過ぎ すっかり寒い冬に移り変わっていた。 「今年は、夏が早く終わると良いね」 「ねっ。暑いの嫌やもんね」 癌で闘病中だった娘と 病院へ向かうバスの中で交わした会話だ。 「咲良…もう、冬やで…夏、終わってしもたやん」 話しかけても、返事なんて返ってくる筈もない。 わかっては居ても、お線香に火をつけて 娘の遺影に向かって、私はポツリと語りかけていた。 母親よりも先に逝ってしまった娘は いったいどこへ逝ってしまったのだろう… 生きる気力を失った私は 半年が過ぎても、涙が枯れることは無かった。 「咲良…ママも咲良の所へ逝きたいよ…」
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