白い猫

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✡✡ 「えっ?!」 『咲良が言ってた通りだ。いつまでも メソメソと、情けないったら。もう!!』 私の頭の少し上の方にある柵の上に ちょこんと澄ました顔で座っている 白い猫が、 私に向かって人の言葉を話している。 話しているというより頭の中に 語りかけてくる感じだった。 テレパシーというやつかな? 「私…とうとう頭がおかしくなったのかな?」 私が猫を無視して、自分自身に 問いかけていると、さらに猫は 声を大にして、話を続けた。 『あのさ、アタシはね。咲良だよ! あんたの娘の魂の分身なんだよ。 ほんと、あんたがいつまでもメソメソしてるから 咲良が、先に進めないでいるんだよ!』 「あ、えっ?! さ、咲良? 咲良の魂? 咲良…咲良が? あ、ど、どうしたら…」 猫の話に私がオロオロしていると しびれを切らした猫が私の足元へ 降りてくると、長い尻尾をパタパタと 地面に叩きつけながら叫んだ。 『とにかくアタシを家まで案内しな! 詳しい話は、それからだよ!!』 「は、はい…」 私は、猫に咲良の魂の分身と聞いて すぐに言われた通りに、 その猫を家まで案内することにした。
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