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猫を家に招き入れると
我が家の猫たちは、不思議なことに
猫を威嚇することも無く
どちらかと言うと、好意的だった。
『良い子たちだね。さすが、マスターが
寄こした猫たちだわ。フフッ』
「へっ?! マスター?」
『まぁ、ゆっくり話してやるからさ。
とりあえず、座りなよ。時間はたっぷり
あるんだから』
猫の言葉に私が動揺しているのを
微笑して、猫はちょこんと
咲良の遺影の前にあるソファーに座った。
私は、陶器の器に水を入れて
猫の前に、そっと置いてから座った。
『咲良を愛してたんだね。それも凄く愛してた』
「はい…。私には、もったいない娘でした…
今でも、死んでしまったなんて信じられません」
『咲良は、ちゃんと生きてるよ。魂の姿で
アタシはその咲良の魂の分身から生まれた猫さ。
だから良くわかるよ。咲良への愛の深さも、
アンタの悲しみもね』
優しい猫の言葉に
私は、涙を流しながら答えていた。
そして、猫が咲良の魂の分身だと
聞かされて、
更に声を上げて私は泣き崩れていた。
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