第四章 ワンナイト・ジゴロ

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「キャー!キャー! リムジンの中ってこんなに広いのね!」 真由美が大声ではしゃいでいる 「やぁ!素敵なお嬢さんがた シャンパンはいかが? 」 拓哉のマネージャーの幸次がリムジンに 備え付けてる小型の冷蔵庫から グラスとシャンパンを取り出した その晩は弘美と真由美、聡子にとって紛れもなく 忘れられない夜になった なんと拓哉は ローリングストーンにその場で電話し 人数分のディナーの予約をあっさり入れ 数時間後に幸次とリムジンで弘美達を迎えに来る と言って一旦帰った 彼のエスコートがあんまりにもスマート だったので弘美は何も言えなかった それから拓哉が約束の時間に迎えに来るまでに 3人の身支度大戦争が始まった 弘美もヘアアイロンで髪を巻いている間に かいつまんで拓哉との出会いを二人に話して聞かせた この時真由美の持ってきた10着の服と9足の靴も 大いに役に立った 二人は拓哉と弘美の間に起こっていること ありとあらゆることを知りたがった 初めて会った時彼がどれほど無礼で我慢ならなかったか 彼との仕事を降ろしてもらおうと さんざん頑張ったけど事務所に言う事を 聞いてもらえなかったこと 弘美が話している間も3人は忙しく 洗面所とドレッサーを行ったり来たりしながら おしゃべりを続けた 「ねぇ本当に私はこの服で行かなきゃいけないの?」 真由美が弘美に選んだ服は 自分が持ってきた中で一番良い服だと豪語した ヴィヴィアンウエストウッドのロゴが付いた 赤のモヘアニットは襟ぐりが大きく 広がっていてどうやっても鎖骨が丸見えだ そして中に着ているキャミソールワンピースは 紫のレースでミニ丈になっている 「今夜ぐらい弁護士の仮面ははずしたらどう? 彼がせっかくセレブが集まるクラブを 予約してくれたのよ!  」 真由美が怖い顔で弘美を睨んだ 「そうそう! それに彼があなたを見る目つきったら 」 聡子もグフフフといやらしく笑った 二人は言った 「彼はあなたに恋をしてるわ!」 「まさか!それはないわ!」 弘美はすかさず否定した すると二人は顔を合わせて言った 「それもそうね!」 「彼の周りにはあなたよりものすごい 美女がわんさかいるものね」 「そうよ!弘美なんか足元にも およばないわよ!」 あっさりひいた二人に 弘美はもう少し躊躇してくれても いいのにと思ったが口には出さなかった
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