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「はん、どの口が言ってんの?俺追いかけるためにこんなところまで来た癖に」
「黙れ。こんなところまで逃げてきたお前に言われたくもない」
声は僕らの他に二人、だろうか。
一人は扉の方。もう一人は……上?
いや違う、窓かベランダの方か。
兎にも角にも今起きている現状を知りたくて、僕は目だけを動かし声がした方を見る。
散乱した机や椅子の脚が邪魔で見えづらいが、おかげで彼らにも気づかれていないようだ。
僕はゆっくり兄の手を口から取り、アイコンタクトを交わしてから彼らに見つからないように動き出す。
「……大人しく付いてくれば暴力はしない」
「大人しくしなかったら?」
会話にも耳をすませながら、漸く一人目の姿を確認する。
(;´・ω・`)「……っ!?」
その姿に、僕は声を上げたくなるのを堪えて目を丸くした。
(メ._⊿,)「その時は、気絶させてでも連れていこう」
大きな兎。
身長は二メートルを超えているだろうか。
真っ白い体毛を黒いローブで包んでいて、ファンタジーの住人のような装いだ。
風が吹く度に裏地の赤がチラチラと見えて、一層現実味が無くなる。
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