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「休みの日とかは、何されているんですか?」
「家でのんびりしてる事が多いかな。たまに買い物に出かけたりするけど、基本は家にいる事が多くて、映画のDVD観たり、読書したり」
春海がそう話した時、新山が振り返り春海に声をかけた。
「主任! ちょっと、写真撮影の様子を見て来ます」
「分かった。じゃ、ここで待ってる」
春海が近くにあった休憩用のベンチに移動すると、新山と後藤は佐々木と宮家の撮影の様子を見に行った。
「2人が帰って来るまでちょっと休憩しよう」
「じゃ、何か飲み物でも買って来ます」
春海がベンチに座ると、鈴乃が自販機で缶コーヒーを買って戻って来た。ポケットから小銭入れを出すと、すかさず鈴乃が言う。
「あぁ、いいです」
「ありがとう、いただきます」
春海は小銭入れをポケットにしまい、缶コーヒーのフタを開けてひとくち飲んだ。鈴乃もフタを開けひとくち飲んで、春海の隣に座る。
しばらく黙ったままコーヒーを飲んでいると、アトラクションの動く音や客の歓声が聞こえて来る。楽し気な声や、悲鳴のような声が聞こえ賑やかだ。
「主任は絶叫系の乗り物って大丈夫ですか?」
「あっ、うん。大丈夫だけど、ちょっと怖いかな」
「久しぶりに乗ってみたいな」
「鈴乃は平気なの?」
「はい、どちらかといえば好きですね」
「そうなんだ……最終日は1日フリーにするつもりだから、乗れるよ」
春海は振り返ってパーク内を眺めて言った。
「あっ! じゃ、主任も一緒に乗りませんか?」
「私はいいよ。皆もきっと遊びに行くだろうから、一緒に遊んで来たらいいよ」
「主任と一緒に乗りたいと思ったんだけどな…」
「私は部屋でやる事があるし…」
「そうですか…」
鈴乃が寂しそうにうつむいて言うのを見て、春海は小さく息をついて言った。
「少しだけなら…」
そう言った瞬間、鈴乃は顔を上げ嬉しそうに笑顔を見せた。
「楽しみにしてます!」
「うん…」
しばらくして新山と後藤が戻って来て、撮影の様子を話す。どちらも順調に撮影を終え、ホテルに戻っているという。春海達も出入り口に向かい、ホテルに戻る。
ホテルのロビーで佐々木や宮家達と会い、春海は撮影したデータを受け取った。明日の朝9時に春海の部屋に集まるように伝え、ロビーで解散しあとは自由行動にした。
春海は部屋に戻りシャワーを浴びて、ルームサービスを頼むつもりでいた。髪を乾かしながらルームサービスのメニューを見ていると、部屋のチャイムが鳴った。
春海がドアを開けると、立っていたのは佐々木。
「春海さん、食事に行こう」
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