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「佐々木、食事?」
「ん? あれ? もう食事した?」
「まだだけど……ルームサービスでいいかと思って、シャワー浴びたの…」
「あぁ、だからすっぴんなのか…」
「あっ! じゃ、ちょっと待ってて。すぐ用意するから」
春海はドアを閉め急いで化粧をして、服を着替え部屋を出た。
「ごめん、おまたせ」
「ふふっ、何かいつもと雰囲気が違うな」
「あぁ、仕事の時のメイクとは違って、ナチュラルメイクにしたからかな。急いでたし…」
「いつもの春海さんもいいけど、俺はそっちの方が好きだな。可愛い…」
佐々木がそう言って微笑むから、春海は照れてうつむいた。すると、春海の手を佐々木が握り指を絡めて手を繋ぐ。
「行こう。腹減った」
手を繋いだままホテルの廊下を歩き、エレベーターに乗ってホテルを出る。しばらく街を歩き、和食のお店に入りテーブルに案内されて佐々木の手が離れた。
メニューを見て春海は大好きな『和風おろしとんかつ』を注文する。佐々木は『唐揚げヒレカツセット』を注文した。
「ほんと好きだよな。とんかつ」
「うん、美味しいんだもん」
「ふふっ、あっ! そういえば、このあいだ餃子が美味い店見つけたぜ。今度つれてってやる」
「うんっ!」
料理が運ばれて来て、春海と佐々木はサクサクのとんかつとヒレカツを堪能した。
「美味しかったぁ……ごちそうさま」
「うん、美味かったな」
店を出ると佐々木はまた春海の手を取り、指を絡めて手を繋ぐ。佐々木は繋いだ手を見て言った。
「春海の手、小さいな……可愛い」
佐々木は手を持ち上げ、春海の手の甲にキスをした。
「佐々木…」
「和正……今は2人だ」
「和正…」
繋いだ手を引き寄せたまま、佐々木が春海を抱き寄せぎゅっと抱き締める。夜の街、人通りは少なく明かりも少なく薄暗い。春海の体は佐々木の胸の中におさまり、周りからは見えなくなった。
「春海、好きだ」
春海の耳元で佐々木が囁き、佐々木の手が春海の頬を捕らえ唇を重ねる。熱く柔らかい佐々木の唇。一度離れ見つめ合い、もう一度重なる。
(どうして…どうして…拒めないんだろ……)
佐々木の唇が何度も角度を変え春海の唇に重なる。けれど春海は拒む事が出来ず、ついには唇の間から入って来た佐々木の舌を受け入れそっと絡めた。
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