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1.平凛の生い立ち
神宮寺家の長女として生まれた平凛は、小さい時から物覚えがとても良かった。小学校では生徒会長を務め、信頼も厚かった。
中学校をどこかいい学校にという先生からの意見もあったが、祖父の是真の、
「そのようなことはせずとも賢いからよい」
という一言で片づけ、地元中学校への進学が決まる。
中学校では皆に信頼され、1年生から生徒会長に選ばれる。茶道部と華道部をかけ持つ部長でもあり、女子生徒から人気があった。背も高く一見モデルのような感じだ。
そんな平凛に人生の転機が訪れる。
2年生の時、両親と出かける用があり、土佐清水市に向かうことになり、車での長距離移動でもあり平凛は後部座席で寝ていた時だった。
S市を抜けた峠の頂上でタンクローリーと正面衝突する事故に遭う。
平凛は後部座席で横になっていた状態だったため、左足を負傷し狭い空間に閉じ込められてしまった。体全体を圧迫され、息ができなくなり、苦しくなってやがて気を失ってしまった…。
次に平凛が目を覚ました時、血だらけの男が自分に馬乗りになり、胸を押し続けている…。(変態?)と思っていたら、その男はすぐにその場に倒れて平凛の胸に顔を埋めるようにして気を失ってしまった。
平凛はそのまま救急車に乗せられS市の病院に搬送されている時、救急の人からさっきの男がずっと心臓マッサージをしていたため助かったのだと聞いたが、平凛にとっては、
(殿方に胸をずっと触られ続けたことで、もう汚れてしまった。もう嫁にもらってもらうしかない)というねじれた考えしかできないでいた。
そういう古風な家柄で育っていた平凛だった…。
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