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La fille aux cheveux de lin
流れるプールで漂っているような、心地のよい揺れが身体を包んでいる。
ゆらゆら、ゆらり。
目を閉じていればそのまま深い眠りに落ちていきそうな、ゆりかごのような安心感だ。
――いや、今もうすでに目を閉じているのだけれど。
「……ん?」
どうやら、朝、らしい。
窓の外は明るい。明らかに明るい。どう考えても、いつもより明るい。
寝ぼけたアタマに鞭を打つようにして、両の目を擦る。何度か瞬きを繰り返して、ようやく焦点が合ってきた。
なるほど、カーテンがかかっていない。それならこれくらい明るいはずだ。壁掛けの時計は七時ちょっと過ぎを指していた。
「7時?」
今日は土曜日。いつもならまだ夢の中。休みの日でこんなに早く起きたのは久々だった。
――よし、もう少しだけ、二度寝をしよう。
今から寝ても、九時過ぎくらいには起きられるはずだし、今日の予定は午後から。余程のことが無い限りは、何も問題は起きないはず————。
「……ちょっと?」
「わ!」
突然視界がカーテンで遮られる。
――ん? カーテン?
ベッドの上に、カーテン?
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