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そんなもの仕掛けた覚えなんて無い。
天蓋付きのベッドで寝ているわけでもない。
「ナオユキさーん。寝ぼけたまま眠らないでくださーい」
「え?」
よく見れば、目の前にあるのはカーテンじゃなくて、掛け布団。それを持っている手も見える。
「あはは、すごい顔してる」
そして、さらに小振りな顔がひょっこりと覗く。亜麻色の髪が楽しそうに揺れた。
「びっくりした?」
「そりゃまぁ」
びっくりはする。まさか、起きたらいるなんて思わない。たしかに合鍵は彼女に——サヤカに渡してはいたけれど。
「あれ? でも、今日って……」
そう。今日の予定は午後から。デートの予定は、午後から。
だって、サヤカは午前中に女友達といっしょの用事があるということで。
それでも午後からは時間があるから、と言ってくれたのを良いことにムリを言ったわけで。
「……っ」
我に返ったように静かになったサヤカは、そのまま顔を赤らめる。
「その……、なんていうか、サプライズ的なことを……ね」
「サプライズ」
ま、たしかに驚いたけども。
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