プロレタリアの分銅

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鳥になりたい。 昔、何かの文集にそう書いた事がある。 その時何故そう思ったのかは覚えていないが、そう書いた事ははっきりと覚えている。 「ノリ。やってるか…」 田代さんがいつもの様に食料を抱えて、玄関の鍵を開けて入って来た。 「はい」 僕は薄暗い部屋で数台のパソコンとスマホを並べて文字を入力していた。 食料と言ってもディスカウントスーパーのビニール袋いっぱいにカップ麺やスナック菓子を持って来るだけ。 もう既にカップ麺にも飽きている。 「お、なかなか良くなって来たじゃないか」 田代さんは僕の入力しているメールの内容を覗き込んで言う。 自分のやっている事がまともな事じゃない事は百パーセントわかっていた。
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