プロレタリアの分銅

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金持ちのふりをしてお金が欲しい人の集まるサイトから相手を見付け、相談相手になり、嘘の相談をし対価を払う事、相手には何の負担も無い事を約束する。 話を重ねる上で情も沸くのだろうか。 相手は相談に乗り、話をする事自体にどんどん楽しみや喜びを感じて行く。 そして一週間程するとその対価を支払うという連絡をし、更に一週間毎に数十万の対価を支払う事を約束する。 ここまでなら良く出来た、いわゆる「良い話」だ。 しかし、僕たちがやっているのは慈善事業ではなく、いわゆる詐欺。 支払日の前日の夜まで、相談を持ち掛けた金持ちのふりをして相談相手を呷り続ける。 そしていざ、支払いの日に、お金を振り込むのに「保全保障認証ライセンスコード」というモノが必要になると相手に言う。 それが一万円。 その一万円を支払ってもらったら一週間の対価を即入金すると持ち掛ける。 もちろん相手は渋る。 それに対し、既に情の湧いている相手のふりをして泣きのメールを入れ続ける。 それに折れて入金される一万円が僕たちの収益となる。 もちろん、その後、対価が入金される事など無い。 元々そんな金なんて何処にもないのだから。
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