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村長の言葉を受けて群衆から三人の男性が現れる。頭に手をやり、恥ずかしそうにしながら出てくる二人の老人と、まるでヒーローのように堂々した態度で登場するプクの父親。
「ああ、あなたたちが。これはこれは」
握手を交わす彼らを見て、プクは自慢げに胸を張っていた。
「実はもう一人、ラドンという教師がいるのですが」
「ラドン? どこかで聞いたことがあるような」
「はい、彼は元燎火隊のメンバーだった男です。ただ、腕を怪我して今はその道を退いておりまして。確か彼は今、風邪を引いて寝込んでいるみたいです。こんなときに間の悪いというかなんというか」
村長の言葉に観客からは笑い声が起こった。皆、ラドン先生のことをわかっている。
少し抜けたところがラドン先生らしい、と。
「そうでしたか。では、本題に参りましょうか。村長、単刀直入にお聞きしますが、ブルーダイヤという宝石、ご存じですよね?」
背の低い男が村長に鋭い目線を送って尋ねた。
「はい? ブルーダイヤ、ですか? いやあ、はて、それはどんな宝石なので」
村長がそう言いかけたところで、背の低い男の後ろにいた大柄の男が話に割り込むように声を荒げた。二メートルは優にありそうなほどの巨体だ。
「とぼけんなよジジイ! こっちは調べがついてんだよ。デタラメばっかり言ってたら殺すぞ」
彼の野太い声で場は一気に張り詰めてしまう。隣にいたエレナがバルのズボンの裾を掴んだ。
「まあまあ、リグド落ち着いて。我々もできれば穏便に事を進めたいと考えているんです。大人しくダイヤを渡せば村人に危害を加えるつもりはありませんよ」
「いや、あの、そんなもの、この村には、ありませんよ」
「ほう、そうですか。ならば、一人ぐらい村人が死んでも構わないとおっしゃる?」
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