パンケーキ屋が…

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パンケーキ屋が…

ある日、行列必須のパンケーキ屋が 駅前にオープンした。 「マコト、美味しそうだね〜!!」 「だね。でもアズサはダメ」 「えっ…」 「あんた、ダイエット中じゃなかった?」 「あ、でも明日から頑張るから…」 「そのセリフ、耳タコだから」 マコトは私の腕をむんずと掴むと パンケーキ屋の前をどんどんと通り過ぎていく。 「あああ〜〜〜」 食べたいなあ、パンケーキ…!! お昼ご飯、おにぎり2個とサラダしか食べてないから もうお腹と背中がくっつきそうだよ(涙) …神様は不公平だ。 空気を吸っただけでも太る私と、 まったく太らないマコトとの違いは何? た、たしかにマコトはバスケ部だし、 体を動かしているけど…。 ものすごく食べるのにお腹はぺっちゃんこだ。 あ、あたしだって…! …帰宅部だった。 それに運動は特にしていない。 …ていうか、生まれつき運動は苦手だった。 それはおとうさんもおかあさんも弟のタクヤも みーんな運動が苦手で、 全員太っている。 「太っちょファミリー」と 家族ぐるみであだ名を付けられているのは きっとうちだけだ。 「女の子はぽっちゃりしてるくらいが 1番かわいいのよ〜」 家族の中で一番太っている母・マサヨの意見が 一番説得力がない。 「そうだぞ〜!かあさんを見ろ。こんなにいい男と 結婚できてるんだから」 …2番目に太っている父・カズヤが モリモリとご飯を口に運んで「おかわり!」と 3杯目を母によそってもらっている。 「ねえちゃん、食わないの?なら俺にちょうだい」 家族の中では一番体重が軽いが、世間的には 間違いなくデブの弟・タクヤに オカズのメンチカツを取られそうになって、 「ちょっ!!食べるってば!!!」 「あれ?ダイエット中じゃねえの?」 「うるさいっ!!」 …結局メンチカツとご飯2杯と味噌汁を2杯たいらげ、 母が買ってきたシュガードーナツまで食べてしまい、 やっぱりダイエットは明日からになった。
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