ありがとう、大好きな君へ

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 今、僕は美緒と女子に人気のパンケーキ屋さんに来てるんだけど、この状況どうすればいいんだろう。僕は甘いものは苦手なんだ。なぜ、この状況になったのか分からない。  ただ、美緒が話があるというからついてきただけなんだけど、話よりもパンケーキに夢中になっている彼女を見るとどうすればいいのか、頭が真っ白になる。 「あ、甘いもの駄目だったよね……。私、食べるよ」  美緒は僕の様子に言葉を発した。僕の目の前にあるパンケーキを見つめている。そんなに好きならあげようかと思ったけど、誘ってくれたことを思い出すと、無理してでも食べないといけないという思いになった。  僕は唾を飲み込み、フォークとナイフを手に取って、食べやすいように切り取った。一口だけ口にした。 「美味しいでしょ」  美緒の言葉通り、美味しかった。僕は彼女を見て微笑んだ。彼女も微笑んだ。この後も進んで食べるけど、話そうとしなかった。  店を出ようと美緒は立ち上がった。僕は立ち上がった彼女の腕を掴んだ。真剣に見つめた。 「話があるんでしょ。聞くよ」  美緒は仕方なく座り直す。無理に聞こうとせず、話すのを待った。  五分くらい経った頃、美緒は顔を上げて僕を見つめた。僕は微笑んだ。 「ごめん。今日話そうかと思ったんだけど、今じゃない気がしたの。また、今度にする。今日は帰る。本当にごめん」  美緒は今度こそ店を出ようと立ち上がった。僕も立ち上がる。会計を済ませ、店を出ると、僕たちは一緒に帰らずに別れた。  なぜなら、僕と美緒はそういう関係じゃないから。小さい頃からの付き合いでただの幼馴染。けど、僕は美緒のことが好きだった。今も昔も変わらない彼女が好きだ。  告白しようと何度も試みた。邪魔しようとするかのようにいつもタイミングが合わなかった。言えたとしても彼女は笑って誤魔化すだけ。だから、ずっと今のままの関係でいる。僕は脈なしだと諦めかけていた。  でも、今日は久々に彼女から一緒にパンケーキ屋さんに行こうと誘ってきた。僕は断った。甘いものだと分かっていたから。最初は友だちと行けばいいと思った。けど、話があるからと言われ、俺はついていった。  無理に話をするように頼んだから、美緒に悪いことしちゃったかな。僕が無理矢理止めたせいで言いづらくなったんだと思う。傷つけてないかな。  罪悪感だけが残ってしまった。
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