ありがとう、大好きな君へ

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 僕は唖然とした。彼女から告られたから。 『私、(そう)ちゃんのこと昔から好きだったの。今更だけど、私の彼氏になってください』  その言葉が頭から離れなかった。まるで時が止まったようだった。ふと、彼女を見る。僕の言葉を待っている。 「僕で、いいの?」  僕は彼女をまっすぐ見つめて問い掛けた。まさか、告白されると思わなかった。 「好きだから、颯ちゃんがいいの。嫌なら、」 「僕もずっと好きだったから嬉しいよ。今でも好きだよ。でも、急にどうしたの?」  僕は不思議に思った。偶に好きの気持ちを伝える僕のことを笑って誤魔化すだけだった。それなのに、彼女から告白を受けるなんて思ってなかったんだ。 「急じゃないよ。あの時、話があるって言ったの覚えてる? あの時言えなくなっちゃって、今日絶対に言おうって。ほら、今日、颯ちゃんの誕生日だから」  覚えてくれてたんだ、僕の誕生日を。いつの間にか、僕に差し出されたプレゼント箱。直ぐに受け取った。彼女は視線を僕に移すと、黙ってしまった。 「これ、今開けていい?」  尋ねると、彼女は恥ずかしそうな顔をした。とても小さな箱に何が入ってるのか気になっていた。開けると、中にキーホルダーが入っていた。 「ありがとう! これ、僕が欲しかったやつだよ!」  思わず大きな声をあげてしまった。それだけ嬉しかったんだ。周りの人たちそっちのけで僕は彼女に抱きついた。彼女は顔を赤くして照れている。ずっと好きでいて良かった。これから、彼女を幸せにする。心の中で決意した、これが僕たちの本当の始まり。  翌日、僕は彼女にメッセージを送った。 『今日、仕事帰りに会おう。奢るよ』  たったそれだけの言葉に僕は嬉しくなった。数分後、彼女から会いたいと返信が来た。益々、嬉しくなって気持ちを抑えきれず、仕事中にも関わらず、僕は大声を出してしまった。言うまでもなく、上司からは怒られた。 「遅れてごめん。実は、」 「怒られて仕事が長引いたんでしょ」  思いも寄らない言葉に口が開いてしまっていた。彼女を見ると、得意げな顔をしている。まるで昔から知っているような、それもそうだった。小さい頃から一緒にいるんだから。 「ねぇ、私、お腹空いた。早く何か食べたい」 「じゃあ、オムライス食べに行こうよ」  彼女の好きなものだった。表情から今も変わらないみたいだ。  僕たちは薄暗い中、手を繋いで歩いた。
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