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美味しい食べ物に溢れた世の中が悪い?
「今年も持久走大会があるから、当日は体育着とシューズを忘れないように。」
先生のありがたいお言葉が、私の心を重くした。
私、加賀美桃は机に肘を置き溜息をついた。
持久走大会の日は、台風でも来ないだろうか。
なんなら、雨でもいい!
とにかく、ビリになるのがわかっているのに走りたくない。
隣の席の秋山亮が、爽やかな風を纏ったかのような笑顔で私に声を掛けてきた。
「加賀美、去年の持久走大会は何位だった?」
こいつは爽やかな笑顔でこんな嫌味を言うなんてと思いながらも、話しかけてくれた事に嬉しさが込み上げてくる。
私は僅かな嬉しさを隠しながら、無愛想に答えた。
「あのさ、何の嫌味?」
「ビリ?」
「正解。わかってるなら、聞かないで。
そういう秋山は何位だったの?」
「オレ、3位。今年はトップを狙ってるんだ!」
彼は意気揚々と応えてくれた。
彼、秋山亮は私の好きな人。
同じクラスになって話すようになると、彼を好きになった。
クラスメイトとのくだらないお喋りをしていたり、授業中にうたた寝をしてしまったり。
秋山亮の全てがキラキラして見えた。
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