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黒木さんは終始、笑顔で話していた。
ランニングウェア姿しか知らないんだと、今更ながら気づいた。
店員さんが注文を聞いてきたので、黒木さんはコーヒー。私は紅茶を注文した。
暫くするとコーヒーと紅茶を運んで来てくれたので、早速ひと口飲むと黒木さんはテーブルに肘をついて見つめてきた。
心の奥を覗き込まれているようで、思わず目を逸らした。
「桃ちゃん」
「はい、何でしょうか。」
「何で目を逸らしたのかな?」
「いや…、恥ずかしくて。」
「ふーん」
面白い物を見るような眼差しが少しムカつく。
黒木さんがコーヒーを飲みながら言ってきた。
「ごめん。怒らせるつもりじゃなかったんだよ。
気になると口にせずには、いられなくなるんだ。
嫌われたのかなって思ったんだけど。」
「嫌いじゃないです。」
「良かった。
それよりケーキでも食べない?」
「いいえ、せっかくここまで痩せたから。」
私が真っ直ぐ見つめて言うと、黒木さんは眉間に皺を寄せた。
「桃ちゃん、今のままで充分だと思うよ。
男はね、必ずしも痩せてる女の子が好きって訳じゃないんだよ。
最初はムチムチしてたけれど、今は僕好みだし。
それに痩せ過ぎも良くない。桃ちゃんはモデルじゃないんだ。」
「黒木さん…」
「桃ちゃんは可愛い。そして胸が大きい!」
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