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私は教卓の前の席でペンを置いて、窓の外を見た。
人生で初の追試と言うモノを受けている。
あの日、樹に家までタクシーで送り届けてもらったのは良いが、翌日から高熱を出し、三日間寝込んでしまい、期末テストを受ける事が出来なかった。
理由も言わずに家を飛び出し、自転車を走らせてミナトスタジオに向かった私は、結局途中でエネルギー切れ。
結果、樹、ややこしいけど、私に助けられ、自宅に強制送還された。
樹の母は深夜にフラフラで帰って来た私に激怒して、樹の父の顔も初めて見た。
その日は熱いお風呂に入れられて寝たんだけど、翌日は重度の筋肉痛にも襲われ、その上、高熱を出す始末。
そのまま熱が引かず、期末テストの日を全部休んでしまい、全教科追試という結果。
まあ、点数悪くて追試よりマシなんだろうけど…。
「上村…もう出来たのか」
数学の先生、名前はまだ覚えていないんだけど…。
教卓から睨む様に私を見ている。
「諦めるにはまだ時間があるぞ」
私はしっかりと答えを埋めた解答用紙を教卓の上に置いて教室を出た。
これで全教科追試終了。
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