1.クロノス

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いちめん白一色の床。 沢山のモニター画面に映し出されるゲームの予告映像。 世界中からダイブ出来るだけあって、行き交う人々の見た目も多種多様だ。 「3人とも、“クロノス”へようこそ」 目の前にいる直も、上は白の詰め襟、下は白のぴったりとしたパンツ姿になっている以外は、普段と何も変わらない。 見れば、明日香も大輔もゆかりも、周囲を闊歩(かっぽ)する人々も、皆、同じ服を着ている。 「ここは……?」 ゆかりの呟きに直が答える。 「“クロノス”のロビーです。ダイブしたプレイヤーは、どこの国からかに関わらず、最初に必ずここを通る仕様になっているんです」 「この服も仕様?」 「そう」 明日香の素朴な疑問に答えてから、直は「ギルド登録してくるのでここで待っていて下さい」と言い残して『Reception(レセプション)』と書かれたコーナーへと向かった。 残された3人は、きょろきょろと辺りを見回す。 「すげぇ。全部現実みたいだ」 「こんな所があるのね」 大輔もゆかりも、初めて見る世界に圧倒されている様子だ。 明日香は鏡面加工を施してある柱で、自分の姿を確認する。 ショートカットの黒髪。姉より少し細めの瞳。意識だけダイブしているはずなのに、朝、鏡で見るのと全く変わらない。 手をグー、パーと動かしてみると、ちゃんと握って放す感覚がついてくる。 なんかちょっと変な感じ。 どうしてこうなるのか仕組みもさっぱりわからない。 でも、“クロノス(ここ)”はきっとこんな風に、まるで現実みたいに感じられる世界なんだ、と明日香は思った。
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