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そう大輔の問いに答えてから、ゆかりは直に訊ねる。
「ゲームのルールを教えてくれる?」
「はい。データで作られた対戦相手と1対1で勝負します。18mの距離から的を射て、5射の合計点で競います。ちなみに的の真ん中から順に10点から1点、射抜いた点がもらえて、的を外れると0点とのことです」
「ありがとう」
直に礼を言った後、ゆかりの視線はひたすらフィールド上のプレイヤーに注がれた。
そして、その場で立ち上がり、見様見真似で矢をつがえる姿勢を取る。
「矢は自分の右側中央につがえ、二本指で顔の前辺りまで引き、放つ」
ゆかりはそう口で唱えながら、プレイヤーの動きをトレースし、それを5本勝負が終わるまで何度も繰り返した。
「どうして動きをトレースしていたんですか?」
勝負が終了してすぐ明日香が訊ねると、ゆかりは微笑んで答えてくれた。
「本来和弓と洋弓は構え方、矢のつがえ方、引き方も全く違うものなの。でもトレースしてみた限りでは予想より応用が効きそうかな」
だから、何度も繰り返し動きをトレースしていたのか。
同じ弓なんだから簡単にプレイ出来ると思っていた自分の認識の甘さが恥ずかしい。
そう明日香が感じた時、音声がフィールド上に流れた。
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