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『Second game“Fencer”』
すると、今度はベージュ色の衣装を着た男性プレイヤーが前に進み出た。
彼の手の中にお椀型の鍔がついた刀身の細い剣が現れ、同時にフェンシングで使うのと同じようなマスク、胸部を覆う革製っぽいプロテクターが装着される。
「斉籐くん、もしかしてあれエペ剣?」
「何でわかったの?」
不思議そうな表情を浮かべた直に、明日香は言った。
「剣の鍔の形で。ちなみに握るとこは真っ直ぐ?」
「うん」
ここで、大輔が会話に加わる。
「明日香ちゃんの剣のヒルト、フレンチだっけ?」
「ううん。ヴィスコンチ」
「フレンチ?ヴィスコンチ!?」
首を傾げるゆかりに明日香は答える。
「剣のヒルト……グリップ部分の種類のことです。真っ直ぐなのがフレンチで、ピストルみたいな形なのがヴィスコンチやベルギアン。フレンチは長いリーチを実現できるメリットがあるんですけど、引っ掛かりのあるヴィスコンチやベルギアンの方が剣の操作はしやすいので、私はヴィスコンチを使っていました」
そういえば、お姉ちゃんはエペをやり始めてからヒルトをフレンチに変えたんだっけ。
明日香の中で、そんな何気ない記憶がよみがえる。
ここまでヒルト談義に耳を傾けていた直が、タイミングを見計らって再度話に加わった。
「一応ルール説明していいか?」
「うん。お願い」
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