1.クロノス

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「まあ、競技を知ってる点で俺よりはましだと思うぞ」 大輔の言葉に、明日香ははっとした。 直も大輔もゆかりも、自分の時間を割いて“クロノス(ここ)”に来てくれている。 お姉ちゃんを助けるために。 言い出しっぺの自分が弱音を吐いている場合じゃない。 「うん。ちょっと弱気になってた。ごめん」 その時、フィールド上では3対5でフェンサーがゲームに敗れていた。 「今負けたけど、ここでゲーム終了なのか?」 大輔の問いに直が答える。 「いいえ。勝負の結果に関わらず第3ゲームまではプレイ出来ます。ただ、3勝出来なかったので、姫を救うため“黒騎士(ノワールナイト)”と対決する最終ゲームには進めません」 その言葉通り、案内音声が告げた。 『Third game(サードゲーム)Lancer(ランサー)”』 すると、紺色の衣装を着た男性プレイヤーが前に進み出た。 彼の手には円錐形に似た形の長い槍が握られ、全身を覆う甲冑が自動的に装着される。 「あれ、視界相当悪そうだな」 大輔が小声で呟く。 フィールド上を見つめるその目は、鋭い競技者のに変わっている。
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