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ヘッドギアを外した明日香は、リクライニングチェアにもたれたまま目頭を押さえる。
まだ頭がふわふわしていて、なかなか現実に戻りきれない。
余裕のない明日香は気づけなかったが、大輔とゆかりも同じような状態だった。
「初ダイブお疲れ様でした」
ただ一人、周りを見るゆとりのある直が3人に声をかける。
「少しここで休んでから帰りましょう。俺、カフェスペースでまとめて買ってくるんで、何飲みたいか教えて下さい」
明日香はホットのロイヤルミルクティー、大輔はホットのカフェラテ、ゆかりはホットのカフェモカをリクエストし、直は4人分の飲み物を黒のお盆に乗せてカフェスペースから戻ってきた。
「ありがとう」
明日香はロイヤルミルクティーが入ったカップを両手で持ってごくりと飲んだ。
あったかい甘さが全身に染みわたり、ふわふわしていた頭を徐々に現実に引き戻してくれる。
「次回は実戦ですけど、皆さんプレイ出来そうですか?」
直の問いにゆかりが答える。
「私はなんとかプレイ出来そうかな。部活であのフォームで射たら怒られてしまうから、次回までに普段通りの型で練習してくるね」
明日香はゆかりの後に続く。
「私も大丈夫だと思う。次回までになるべく剣を握るようにするね。あとフットワークと的突きなら家でも出来るし」
最後に答えたのは大輔だ。
「俺はかなり不安だけど、とにかく部活とクラブで突きに専念して練習してくるよ。握るのは剣だけど何もしないよりはいい」
直が話を締める。
「次回のダイブは来週の日曜日、待ち合わせは今日と同じ時間に駅の改札前集合で大丈夫ですか」
「うん」
飲み物を飲み終えた4人は、部屋代と飲み物代を割り勘し、直が代表で会計を済ませカフェを出た。
次回のダイブは来週日曜日。いよいよ本番、頑張ろう。
明日香は決意を新たにし、真っ直ぐ前を向いた。
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