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閉ざされた門の前に、仮面をつけた黒衣の紳士の幻影が現れる。
「ようこそ、従騎士諸君。我はゲームマスター」
続いて城内にある高い塔が現れた。
塔の外から窓へと映像が近づいていき、窓辺に佇む姫君の姿が映し出される。
「我が城に捕われた姫を救うため、今から君たちには3つのゲームに挑んでもらう」
アーモンドのような形のつぶらな瞳。
すっと通った鼻筋、そしてさくら色の唇。
中世の姫君のような襟ぐりの深いドレスを着て、普段より長い髪をアップスタイルで纏めているが、間違いない。
「……お姉ちゃん」
「今日香」
明日香、大輔、ゆかりの3人がそう呟くのを聞いて、直が明日香に小声で訊ねる。
「あの姫が、森さんのお姉さんなのか?」
「……うん」
図らずも直の仮説は正しいことが実証された。
このゲームに勝てば、きっと姉を取り戻せるはずだ。
「第一ゲームは“Archer”、第二ゲームは“Fencer”、第三ゲームは“Lancer”が挑み、3勝出来たギルドのみが最終ゲーム“黒騎士との決闘”に進むことが出来る」
何としてでも勝って、お姉ちゃんを救うんだ。
明日香は両の拳を握りしめる。
「姫を救い“騎士”の称号を得られるか、全ては君たちにかかっている。いざ前進せよ、従騎士諸君。君たちの健闘を祈る」
ゲームマスターの幻影が消えると同時に、固く閉ざされた城門が重たい音を立てながら開かれる。
直を先頭に、明日香たちはゲームが行われる中庭まで歩みを進めた。
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