2.はじめての挑戦

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閉ざされた門の前に、仮面をつけた黒衣の紳士の幻影が現れる。 「ようこそ、従騎士(エスクワイア)諸君。我はゲームマスター」 続いて城内にある高い塔が現れた。 塔の外から窓へと映像が近づいていき、窓辺に佇む姫君の姿が映し出される。 「我が城に捕われた姫を救うため、今から君たちには3つのゲームに挑んでもらう」 アーモンドのような形のつぶらな瞳。 すっと通った鼻筋、そしてさくら色の唇。  中世の姫君のような襟ぐりの深いドレスを着て、普段より長い髪をアップスタイルで纏めているが、間違いない。 「……お姉ちゃん」 「今日香」 明日香、大輔、ゆかりの3人がそう呟くのを聞いて、直が明日香に小声で訊ねる。 「あの姫が、森さんのお姉さんなのか?」 「……うん」 図らずも直の仮説は正しいことが実証された。 このゲームに勝てば、きっと姉を取り戻せるはずだ。 「第一ゲームは“Archer(アーチャー)”、第二ゲームは“Fencer(フェンサー)”、第三ゲームは“Lancer(ランサー)”が挑み、3勝出来たギルドのみが最終ゲーム“黒騎士(ノワールナイト)との決闘”に進むことが出来る」 何としてでも勝って、お姉ちゃんを救うんだ。 明日香は両の拳を握りしめる。 「姫を救い“騎士(ナイト)”の称号を得られるか、全ては君たちにかかっている。いざ前進せよ、従騎士(エスクワイア)諸君。君たちの健闘を祈る」 ゲームマスターの幻影が消えると同時に、固く閉ざされた城門が重たい音を立てながら開かれる。 直を先頭に、明日香たちはゲームが行われる中庭まで歩みを進めた。
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