17人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「……信じられないような話だけど、笑わないで聞いてくれる?」
そう前置きして、明日香は昨夜消えてしまう寸前にスクショしたメッセージの画像を彼に見せた。
「これが昨日、スマホに届いたの」
……げほごほがふっ。
おにぎりを喉に詰まらせそうになり、直は慌てて水筒の麦茶で流し込む。
「姉を救いたくば……って、お姉さんに何かあったのか?」
「うん……実は昨日、急に意識不明の重体になったの」
ホットサンドを一口かじって、明日香は話を続けた。
「でもどうしても信じられなくて。先月交通事故に遭って入院したんだけど、命に別状はなかったし……。おとといお見舞いに行った時も、骨折のリハビリ頑張らないと、ってお姉ちゃん笑って言ってたんだよ」
明日香の声がわずかに震えている。
でも寒さのせいじゃない。
そう気づいた直は、静かに語りかける。
「森さんはお姉さんのこと、助けたいんだな」
明日香は無言で頷く。
「……俺で良かったら手伝うよ」
「信じてくれたの?」
「うん。ゲーマーとして純粋に興味がわいたのもあるし、森さんには“クロノス”に詳しいヤツが必要なんだろ?」
まったくもってその通り。
「……ありがとう」
今まで変わり者とか思っててごめん、と明日香は心の中で謝った。
最初のコメントを投稿しよう!