1.クロノス

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「……信じられないような話だけど、笑わないで聞いてくれる?」 そう前置きして、明日香は昨夜消えてしまう寸前にスクショしたメッセージの画像を彼に見せた。 「これが昨日、スマホに届いたの」 ……げほごほがふっ。 おにぎりを喉に詰まらせそうになり、直は慌てて水筒の麦茶で流し込む。 「姉を救いたくば……って、お姉さんに何かあったのか?」 「うん……実は昨日、急に意識不明の重体になったの」 ホットサンドを一口かじって、明日香は話を続けた。 「でもどうしても信じられなくて。先月交通事故に遭って入院したんだけど、命に別状はなかったし……。おとといお見舞いに行った時も、骨折のリハビリ頑張らないと、ってお姉ちゃん笑って言ってたんだよ」 明日香の声がわずかに震えている。 でも寒さのせいじゃない。 そう気づいた直は、静かに語りかける。 「森さんはお姉さんのこと、助けたいんだな」 明日香は無言で頷く。 「……俺で良かったら手伝うよ」 「信じてくれたの?」 「うん。ゲーマーとして純粋に興味がわいたのもあるし、森さんには“クロノス”に詳しいヤツが必要なんだろ?」 まったくもってその通り。 「……ありがとう」 今まで変わり者とか思っててごめん、と明日香は心の中で謝った。
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