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「汝、”クロノス”で騎士になれ、……か。もしかしたら”クロノス”でプレイ出来る“The Knight‘s Tale”ってゲームのことかも知れない」
直は凄まじい勢いで思考をまとめながら言語化していく。
「ざっくり説明すると、従騎士って名前のプレイヤーがゲームマスターの城に捕らわれた姫を救うストーリーなんだ。しかもゲームをクリアしたプレイヤーは、姫に叙勲してもらって騎士になれる。もし、何らかの理由で森さんのお姉さんの意識だけが“クロノス”に吸い込まれたんだと仮定すれば……」
「ゲームをクリア出来ればお姉ちゃんを助けられる!……斉籐くん、このゲームどこでプレイ出来るか知ってる?」
逸る明日香を落ち着かせるため、直は冷静な口調で切り出した。
「知ってるけど、このゲームは一人じゃ出来ない。プレイするには剣で戦う“フェンサー”、弓で戦う“アーチャー”、馬上槍試合で戦う“ランサー”、あと補佐役の“吟遊詩人”が必要なんだ」
“吟遊詩人”には俺がなるとして、とあっさり決めてから、直は話を続ける。
「しかもプレイヤーは“クロノス”に意識ごとダイブするから、現実に身体を動かしてプレイするのと同じなんだ。剣だの弓だの槍だの、やれそうなヤツ周りにいるか?」
「“フェンサー”なら私が出来る。……つい最近まで、フェンシングやってたから」
思わぬ返答に目を丸くする直を前に、明日香は更に続けた。
「あと、"ランサー"になってくれそうな人なら、ひとり心当たりあるよ」
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